■ エヲカク ■

2021年06月02日

PDG2021

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PDG2021 / acrylic, spray paint, marker on canvas/ 1160 x 910mm

しかし久し振りに、求める絵にすこしだけ近付けた気がする。2019年にニューヨークで出会ったGreatなアーティストから受けた衝撃を、2年費やしてやっと消化できてきたのかも知れない。COCO144とJosue Guarionex。いずれもプエルトリコにルーツを持つ、強度あるアーティスト。そして同じくそのときに出会い、その後の来日があって意気投合したAllicette Torresからも大きなインスピレーションを得た。

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創作メモ

“World’s richest 1% cause double CO2 emissions of poorest 50%, says Oxfam
Charity says world’s fast-shrinking carbon budget should be used to improve lot of poorest”

“The richest 10% of the global population, comprising about 630 million people, were responsible for about 52% of global emissions over the 25-year period, the study showed.
Globally, the richest 10% are those with incomes above about $35,000 (£27,000) a year, and the richest 1% are people earning more than about $100,000.”
 (The Guardian UK − 20 Sep 2020)

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この感じが逃げていかないうちにあと2枚でも3枚でも描いてしまいたいところだが、日々の仕事に追われて儘ならない。この歯痒さをいなしながら気付けば20年…… 🐢

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2020年12月17日

サバービア

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セレモニーはあらゆる意味で苦手だけど、昨日は最後の務めを果たすつもりで頑張りました。

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コロナ禍の学校で、生徒代表として出席してくれた生徒会の会長と副会長の15歳が立派で眩しかった。

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テレビ埼玉や新聞の埼玉版や市の広報の取材なども入り、そんなつもりではなかったのにと気後れしたけど、でもこれで絵がひとつ、羨ましくなるくらい頭の柔らかい子供達の目に日々触れていくことになる。どれほどの確率となるかは分からないけど、十代前半、記憶のどこかにひっかかった絵がその後、なにかの拍子に思い出される日もあるかも知れない。

……そんなことを思いながら、コメントを求められ、この世界はとにかく分からないことだらけだというメッセージだけ、しっかり伝えてきたつもり。

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これから故郷の芸術文化関係のなにかに、なんらかの形で携わってゆくことになるかも知れない。

問題の多い時期を過ごしていた中学生の頃の自分との再会でもあった。サバービア。シュールでした。

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2020年07月23日

アリセット(ニューヨーク)

絵を描くことを求められる……ということがある、という、それだけのことがどれほど幸せかは、分かってくれる人はわかってくれると思う。幸せです。


で、絵を描くとか、そういうことを通じて得られる友人のありがたさがこの人生を支えていてそれもとてもありがたい。

はっきり言って、俺の絵がなんの絵なのか分かる人は全然いません。でも伝わるところには伝わる。で、そういう人にハズレなし。なんて面白い人生なんだろう。

今日は届いた良い知らせ。
こういうことあるとがんばれる!

Allicette Torres


在ニューヨーク、プエルトリカン、魂のアーティスト。





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2020年06月07日

パターソン/ジャームッシュ/ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ …と絵

観たいなと思ってたジャームッシュの『パターソン』偶然見つけて観ることができた。とても良かった。

28歳の10月のあの日、絵を描きはじめて本当に良かったと思えた。

絵を描くようになったことで、その後の人生にいくつものサプライズが起きたが、すべてのサプライズが、あのとき一枚の絵を描いたことで始まったと言っていいほどだ。

来年の10月に絵を描きはじめて20年になる。あのとき絵を描きはじめなければ、その後どんな人生になっていたのか、まったく想像もつかない。

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以下は最近の世界的な反人種差別プロテストにつあて、日々流れてくる情報に触れて思ったこと:

all different kinds of discriminations are really disturbing.

sometimes i find discriminatory eyes in myself, and of course that’s also very uncomfortable. 

...it’s been uncomfortable. i want this to go away. this should be vanished. i feel so offended by people stomping on everything with discrimination.

 

差別的なあらゆるものが、本当に不快だ。

自分のなかに差別的な視点を見出すことも時にあり、勿論それも不快だ。

……不快だ。無くなって欲しい。無くなるべきだ。なんでも差別の種にして踏みつける人々が不快だ。
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2020年04月28日

絵を描く

しかし、コロナ禍がいかにトンデモナイことであるとは言え、それ一発でこれほどの崩壊を見せる社会、すさまじいな。

社会生活を営む人間にとって、平穏無事がいかに大切なことであるのかが、改めて分かる。

今夜はこの騒動/災難が起きてから、おそらく初めて、曰く言い難い哀しさ、寂しさ、のようなものを感じていることを自覚した。

……ここしばらく興奮状態にあったのだと判った。このモードに入る為に、きっと必要な興奮状態だったのだろうと考える。

分断統治の誘導に乗せられないために、どうすれば良いか、今夜は絵を描きながら落ち着いて考える。優しい線を引くことだけに意識を向けている。

かなしい。

Tシャツ作るよ。

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No matter how outrageous this corona panic is, it is terrible to see a society collapse so easily. It reminds us once again how important it is for people, as a social creature, to maintain peace and safety of our society.

It is, perhaps for the first time since this all happened, I realized that I was feeling a kind of indescribable sadness, a kind of emptiness.

...I have realized that I might have been in a state of aggression for a while. I suppose it was the state of mind I needed to get into this mode.

I calmly ponder what I can do to avoid being taken in by the divide and conquer inducement. I'm focusing into my consciousness, just to draw a gentle line.

It's sad.

I'm making you a T-shirt.




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2020年04月12日

2020/04/11

Moral Capitalism(モラル・キャピタリズム)やEthical Capitalism(エシカル・キャピタリズム)、つまり倫理的資本主義と呼ばれる社会システムへの移行/実験のタイミングが今まさに訪れている。

それは Social Capitalism(ソーシャル・キャピタリズム)=社会資本主義かもしれないし、他のなにかかも知れない。

社会や市場の健全性を担保できないシステムは結局、自縄自縛に陥って自ら本能的に破滅の道を選び取っていく。

今回ウイルスという人間以外の要素、人間がコントロール不能の要素が人間社会に地球規模の巨大なインパクトを与えているが、それが契機となることで人間/社会においてなにが、どのように目覚めるのか。

楽観論/悲観論などとは別の次元で、人間という種がなんらかの結論を導き出すことになる。

いずれにせよ、今の日本は多少特異なサンプルとして、このような考察にある種の役割を果たすことになるかもしれない。バカバカしいにも程があるけど。
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……ジンを飲んで視力が改善したという人がいたことを思い出したのでジンを飲んでいるけど、どうやら酔っ払いに騙されたのかも。。 40代半ばを過ぎて老眼になって、あの細かい線画を描くのに、かつての2倍くらいの労力を費やさなければならなくなってしまった。俺のような絵描きは観察者なので、上記のような興味が湧くし、そのことについて考えざるを得ない。

……それにしても、落ち着かないね。





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2019年07月31日

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2019年06月10日

Emptiness 2019

うまくペースがつかめず、今はここまで。
生活がガチャガチャしていて思うように時間を持てない。気分の問題かも知れないけど。

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かれこれ数年に渡って書いて(描いて)いるこの文字(記号)だが、大きな絵をブルックリンに預けてきてしまったので、日本でまた必要となりそうな予感があって2種類のサイズで描いてる。

同じ記号だけど、重ね合わせる絵が異なるのと、作る状況が異なるので、こうして何年も主題にし続けていると、なんだか定点観測をしているようでもある。そこになにを観測してるのかは、他人の関心の外にあるものだけど。

ちょっとのんびりし過ぎていると思わないでもないけど、それでもやってることで生じる化学反応みたいなのがあって、じわじわ物事が動いていくのを観察者の視点で見るのも面白いといえば面白いと思えないこともない。というか、こんなスローモーションを展開しつつ、物事が動いているのを感じるのは個人的に面白いことなんだけど、その感じは共感を求められる種類の感覚とも違う気がする。

でももうちょっと時間欲しいかも知れないな。

……政治があまりにも酷くて滅入る。




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2019年04月24日

すてーとめんと

自由を謳歌してみたことがある人がいるのか? 日本では、まだそれが可能。みんな無責任。基準もゆるい。バカを相手にする前にやってみて〜。謳歌してみて〜♪

少なくとも逮捕されることも殺されることもない。ちょっとしたことでは。

時間を自分のために使え。自分の愛する人、愛する物事のために使え。それが会社でも仲間でも個人的なことでも、なんでもいいでしょ?

そういう人たちが拡充していく物事が、自由を担保していくんだから。

阿倍や麻生や管や、そのさらに下の三下のこと馬鹿だ酷いだなんだって言ってる奴ら、そいつらこそバカなんじゃないか? こいつらがどーしょもないってことなんて、そもそも分かりきってることじゃないのか? そんなことは無視して、やりたいこと徹底的にやりゃいいんだよ。今のうちに。人生短いぞ?

そうして誰かがやったことでしか自由は拡大していかないんだから。それが人間社会のバイオロジーなんだって、ギリシャのやブッダの時代からずっとそうでしょ?

政治や社会を語るなら、そのうえで建設的に語ろう。そして歌い踊り、飲み、喰い、そのために必要な働きもしよう。

とにかくやりたいようにやればいい。それが会社でも仲間でも個人的なことでも、なんでもいいでしょ?

真面目にやろうよ?




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2014年09月20日

「わからないもの」

「わからないもの」が気持ちいいという感覚が、ありまする。

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ひたすらわけのわからないものを描いてる気がする。
どんどんわからなくなってくる。
ところが完全にわかっているような気もする。
答えは、出るようで出ませんぬ。
あれこれ忘れてしまう。必要なことまで忘れてしまう気がする。
この感じがある種の至福なのかなあと錯覚したりしなかったり。

この絵をなるべく切り刻みたくないんだけど、
どうやってスキャンすればいいんだろ。こまった。
やっぱり切るのかな。まあ仕方ないのか、それで。
あと三分の一、くらい。
この週末が山だねぇ。
おえかきはたのしいねぇ。

集中力が切れたようです。

……というポイントまで、また。
 
 
 
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2014年03月15日

POP STARと共に…

POP STARとあちこち旅した。日本各地はもとより、ロンドン、アムステルダム、フランクフルト、香港、ニューヨーク…… いつもPOP STARが一緒だった。POP STARとともに、いろんな壁に立ち向かった! 

なにしろ壁に描きまくったわけだから、そこかしこで。

そして本日……!!!!

大ショック!!! マリオ曼陀羅のライブドローイングを支えてきたマーカー、ゼブラPOP STARが生産中止!!! 俺はこれからどうすればいいんだーーー!!!!

取り敢えず、いつもの店の在庫をドカ買い。ゼブラにも問い合わせてもらったが、廃盤にして在庫は既に廃棄処分とのこと!!!! 捨てるならくれよ! 多分、日本でPOP STAR使用本数/個人、かなり上位だったと思う。哀しい!! 出費も痛い! でも痛くない、クッ!!!!

別のラインナップをリリース予定とのことだけど、POP STARなくしてどんなの出すつもりなんですか、ゼブラさん!!

POP STARの生産中止でZEBRAの株価が暴落するっっ!!!!(呪

ショックが大きすぎて、午後の仕事する気が失せて、おかげで深夜まで事務所。ぜんぶZEBRAのせい!!! 

今更だけどゼブラPOP STARの発色の良さとインクの柔らかさと名前のダサさは最高だ!!!! ポ○カとかぜんぜん使えない。だけどまさかの生産中止、在庫廃棄。そりゃねえよゼブラさん!!!

【写真で振り返る:POP STARとマリオ曼陀羅、二人旅】

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ゼブラPOP STARと共にロンドン…
TROLLEYOLOGY
http://www.amazon.co.uk/dp/190711243X/ より

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ゼブラPOP STARと共に(T^T)…

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ゼブラPOP STARと共に群馬の山奥でレイブ…

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ゼブラPOP STARと共に現代アート/Radium von Roentgenwerke AG…

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ゼブラPOP STARと共にニューヨーク…

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ゼブラPOP STARと共に銀座のバー…

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ゼブラPOP STARと共に三人羽織…

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ゼブラPOP STARと共に『石田三成』(荒山徹:著/講談社)…

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ゼブラPOP STARと共に(T^T)…

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ゼブラPOP STARと共に3Dメガネと仲間たち…

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ゼブラPOP STARと共にドイツ/フランクフルト…
Trolley Books、Gigi Giannucciの思い出も共に…

ゼブラPOP STARと共にうおぉおぉぉぉぉぉぉ!!!!

ゼブラPOP STARと共に香港…

ゼブラPOP STARと共にぐるぐるぐるぐる…

ゼブラPOP STARと共に博多…

ゼブラPOP STARと共に宇宙マッサージ…

ゼブラPOP STARと共に東京や大阪のアートフェア…

ゼブラPOP STARと共にクラブイベント…

ゼブラPOP STARと共にぐるぐるぐるぐぐるぐるぐrぐrぐrぐrぐrくぁwせdrftgyふじこlp;@

他にも他にもあんなことやこんな場所にPOPSTARと一緒に出かけて行った! そしてひたすら目の前の壁に突っ込んだ! 

……そういう訳で、POP STARの生産中止は痛手なのです!今日、行きつけの文具店で生産中止を知らされショックでした とにかくインクが素晴らしいんです。次のラインナップはどうなりますか、ZEBRAさん????

このインクとマーカーを開発されたZEBRA御担当者にお礼を伝えに行きたいなーと、これまでにも何度も思ったことがありました! すてきなマーカーを提供してくださって、ありがとうございます!! 2007年からずっと愛用していて代えの効くマーカーには出会っていません。

POP STAR開発チームに大感謝です! ステキなマーカー、これまでありがとうございます!!

当座、明後日のSYNCRONICITY'14どうしよーーー!!!!!!!!

ゼブラ御中(@suraripen)平素は格段のご高配を賜りまして有り難うございます。POP STARの生産を、ぜひぜひ再開してください!!! よろしくお願い申し上げます。マリオ曼荼羅

llllllρ(-_-;)||||||どよ〜ん

(´Д`|||) ドヨーン
 
 
 
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2013年07月07日

ひとまわり

5年間を一周期にするくらいの、ゆるいペースで動いていると、たまに思い掛けず何かの力を借りるような形でそれが加速することがあり、そういう時にはその流れにただ身をまかせて気づくと宇宙がまたちょっと広がっている感じ。

今はまたのんびりした速度で動いていて、だから窓に映る景色は残像も残さずにビュンビュン過ぎ去ってゆく。光のシャワーのなかにいるみたいな気分。

一昨日、たぶん13年ぶりの再会をした当時の遊び仲間と、会った瞬間からいきなりバチーンと、ディテールにおける言語までほとんど違和感なく、話が噛み合って、ちょっと驚いた。でも不思議な感じはしなかった。干支が一回りした間、それぞれやりたいと直感することしかしていなかったようで、お互いが異なった場所で気長に愚直に何かを続けていたらしい。どうやら無意識のところで通底する何かを抱き続けていたみたい。流れは分けたり寄ったり。人生飽きないな。

……で、探し物をはじめたらそれは出てこなかったんだけど、また別の古いものが出てきた。




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2013年04月07日

フライパン

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2008年クリスマス、その年に出版社を辞め、料理研究家に転身した奥さんの独立を記念して描いたもの。

使い古され、その役目を終えたフライパンが捨てられそうになっていたのを救出しリサイクル。

独立してから5年で軌道に乗せるという当初の目標は、まあ達成されたと見ていいのかな? ごくろうさん!
 
この頃に肖像画の面白さに目覚めたような気がするが、別にあれこれ描くではなかった。けど、やっぱり肖像画は面白そうなので、これから取り組んでみる予定。

命の吹き込み方を研究中。
 
なんか最近ちょっとずつ命の吹き込み方が分かってきたような気がするんだけど、まだそれを説明できない。
言語化できないので、そもそも絵を描きはじめたので、説明できないのは仕方ないと諦めることもできるかもしれないが、それでもやはり言語化できて初めて伝わるものも確かにあるので、それはゆっくり考える。
 
 
 
 
 
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2013年03月02日

赤牛曼陀羅その壱@青山スペインバルrio

青山学院の近くの路地にあるスペイン料理のレストラン「青山スペインバルrio(リオ)」の壁画を、まずはひとつ描かせていただきました。



熊本の赤牛という牛のお肉を炭火で焼いてくれ、美味しいスペインワインと一緒に出してくれる素敵なレストランで、ぼくも時々お邪魔して、舌鼓を打って、楽しい時間を過ごさせてもらっています。

「マリオ曼陀羅で壁画を描いてよ」と、店主の河村亮さんから相談をもらったのは、このお店が開店した当時のことだったので、半年以上も時間が経ってしまいましたが、これも何かのタイミングだったのでしょう。


途中、描きかけの赤牛のアップ。

当初の依頼は豚さんをあしらったマリオ曼陀羅の壁画だったのですが、店の名物がイベリコ豚のハムから熊本の赤牛に移ったタイミングで、牛さんと曼陀羅、という話に変わったわけです。ぼくは食肉については、どちらかというと牛肉よりも豚肉を好むので、豚さん曼陀羅を描いても良かったのですが、その時にはなんだかピンと来ていなかった。それが今年になってrioが熊本の赤牛を名物にするようになって「来た!」と思ったわけです。ぼく自身が丑年の生まれであることと、もしかしたら関係があるのでしょうか。

赤牛曼陀羅を描く手は実にすいすいすいすい楽に動いて、「たくさんの人が集りますように」という祈りとともに、気がついたら出来上がっていました。これはいい流れだなと思います。


落ち着いた、奥まったテーブル席の壁。営業中はこんな感じのライティングでしょうか。浮かび上がれ。

日を改めて、近々、レストランのメインの大きなスペースの壁にも、もうひとつ、赤牛曼陀羅を描く予定。

赤牛の炭火焼きに限らず、美味しいお料理いろいろ、それからワインもいろいろあります。魚介料理も美味しい。スペイン料理。バスク料理のメニューもあります。

今度、飲みに行きましょう。

青山スペインバルrio(リオ)
http://www.rio-aoyama.com/
TEL/FAX: 03-6805-1148
E-mail: info@rio-aoyama.com
Address: 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-6-8 ST青山 1F

rioのお料理写真
http://p.tl/r3WL
 
 
 

 
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2012年02月03日

エヲカク <memo>

さて、今夜も眠る前に筋トレよろしく最低でも30分だけやろう。ルーチンにしてそれを(なるべく)守るということが、ある種の強度や進歩を確実に育むものだということは、過ぎた10年のあいだに獲得することのできた貴重な実感のひとつだ。長く時間を費やすしかない。長い時間を費やすのではなく。

インスピレーションに踊らされる。

やり続けるなかで身に付いてしまった「捨ててしまいたい」と思うがなかなかそうできない手癖のようなものがある。同じくやり続けるなかでしか獲得できなかった「欲しかった」動きがある。捨てるべきものを捨て得るものを得てゆくなかで、まだ自由になる余地があるということであればそれは追及したい。

以下、1月21日/22日の週末および、28日/29日の週末に、伊丹市立美術館のキース・へリング展「LOVE POP!」での壁画プロジェクトの後に、その余韻と雑念を消化する為、そしてその場で得てきた刺激を受けて思ったこと、そのまま。

※注: 以下のメモを書いたのは、イベントを終えて興奮の残っていた帰宅翌日であったためか「死んだアーティスト」などと生意気なことを書いているが、それはご容赦されたし。まだ10代の頃の僕にすら強く重い衝撃と快感を与えたキース・ヘリングの絵やプリントが、作者が死んだからと言って死ぬわけは当然なく、今回の展覧会で改めて(そして多くは初めて)目にしたキース・ヘリングの作品群の率直な力と奥深さに、僕は大きく感情を揺さぶられた。そのような状態でのメモです。

「今夜、もし眠らずに起きていられたら、ものすごく久し振りに絵を描こう。描きたい。

週末のプロジェクトで僕はあくまでも展覧会と死んだアーティスト(※注)の存在に便乗したものであり、その役割を果たすことだけを考えればよかった。簡単で楽しい仕事だった。得難い幸せな空間と時間を与えられたことについては、素直に嬉しかった。役割を演じることに徹したお陰で自分の創作を改めて客観視し、いくつか気付かされたことがあった。

そのことを具体的に覚えている今のうちに、独りで静かに誰にも見られず、久し振りに絵を描きたい。」

「if i can stay awake tonight, i want to draw an image, after a long enough break.

the project i was involved last weekends, it was a free ride on the dead artist's(※注) exhibition. it was an easy, fun work that i did. only thing i needed to do was to play a role with some accuracy. of course, it was a pleasure to be given such interesting and happy environment and time, though. by playing the role, i could objectively view my work, and there is something i realized about it.

before i forget about what came to my mind, i wan to draw an image, just by myself, in a silence, without seen by anyone. i haven't done that for sometime now.」

英語は照れ隠し(兼、英語の練習)。


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2011年10月10日

エヲカク(23)〜あれから10年。

 ちょうど十年前、今いるフランクフルトでぼくは絵を描きはじめた。衝動的に。
 
 その前の二年間は終わらないとも思える喧騒のなかで、文字通り我を見失っていた。勤めていた会社との大喧嘩は20代のぼくには筆舌に尽くし難いストレスだった。長く付き合っていたガールフレンドとは破局的な状態になり、ありあまるエネルギーを吐き出すように恋愛めいた瞬間的な関係をあちこちでしては情けなくも打ち壊し、打ち壊され、とにかく草臥れる時期だった。吹雪のニューヨークで仕事をして、大雪のフィラデルフィアで気の休まらない一週間の休暇を過ごし、帰国した翌日に出資主の会社の応接間に呼ばれ、最小限の手続きのあと、解雇となった。
 その翌週には、今いる会社の立ち上げに加わることになったが、それもすんなりと事が進んだ訳ではない。一連の出来事を興奮状態で乗り切っていたものの、精神の摩耗はひどいことになっていた。ロンドンに飛び、ニューヨークに行き、またニューヨークに行き、そうこうしているうちに2001年の9.11のテロが起きた。ストレスレベルが最高潮に高まっていた時期だった。
 この仕事をしていると、毎年10月にはフランクフルト・ブックフェアに出掛ける。ついでに、その前にまたロンドンに立ち寄る。もう今のうちに辞めよう、そして一度、自分を取り戻さなくては、そう考えていたのがちょうど十年前の今だ。
 
 ロンドン/フランクフルトに持って出た荷物に、スケッチブックが一冊忍ばせてあった。その旅の直前に「やっぱり辞める」と意志表示をした。航空券やホテルの部屋は抑えてしまっているんだからとにかく来るだけ来い、無理矢理に仕事する必要は無いからスケッチブックでも持って来て、気が向いたら絵でも描いてみたらいい、そんなことを言われて、まあそうかなと思って、通りがかった画材屋でスケッチブックを買った。

 フランクフルトに入ると、そこには世界中から出版関係者が来ており、いくつもの再会が待っている。
 そんな機会にしか顔を会わせない友人達と過ごしたあとで、夜中か朝方か、飲んだくれてホテルの部屋に戻り、そのスケッチブックの存在を思い出し、引っ張り出した。もうこれでおしまいにしよう、そんなことを考えながら、ポケットに入っていたペンで線を引きはじめた。そうしたら、想像もしなかったものが出てきた、というか降りてきた。なんだか気分が軽くなって眠った。

 それ以降、これはなんだろう? これはなんだろう? と思いながら、出てくるに任せて、暇があるとその絵を描き続けた。紙とペンだけあればできる簡単なことなので、それこそどこででも描いた。そうしている最中に限っては、外の世界は存在しなかった。内の世界も存在しなかった。
 思えばそれは瞑想だった。
 その瞑想は、絵を生みだす以上の役割も当時のぼくに対して果たした。そのことに具体的に思い至ったのは、多分、絵を描きはじめて数ヶ月が経過してからだった。荒れ狂っていた精神が、どんどんと沈下してゆく感覚だった。前提となっていた大嵐がひどかったためか、精神の沈下はどこまでも止まらなかった。絵を描いている時「だけ」が気持が良いというような状況がその後二年間ほど続いた。10枚が20枚となり、20枚が40枚となり…… 気がつけば今度は絵が共鳴を引き越し、小さな出来事を生む。でもまだ非常に個人的なことだ。
 沈下も限界というようなところにきて、何かが解放されてしまった。
 解放されるとちょっと爆発的なことも起きてくる。絵もそうだし、本の仕事もそうだし、結婚したり子供を儲けたり…… より人々の根っこの部分に関わることも。

 それからその解放の流れに乗って、数年間。
 
 そんなこんなで、あの日からちょうど十年。
 今朝のフランクフルトは霧雨。
 


 
 
 
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2011年10月02日

エヲカク(22)



先週末、伊丹に出掛けた。
来年の相談を伊丹市立美術館でするために。
ついでに、3月にお世話になった櫻井家に、妻子とお邪魔した。
その足で、大阪の桑島さんの展覧会を見た。桑島さんと会った。
継続する世界の途中にすべてあった。
その足で京都に出掛けて、移転した3min.の事務所と住居の町屋で一泊。
京都をちょっとだけ散歩した。
翌日、妻子が櫻井家と京都に来て動物園に行った。猿が良かった。
帰りの新幹線で子供が熱を出した。

仕事の後で、妻子と義父と友達と、神宮球場でヤクルト阪神戦を観た。
木曜日、サンフランシスコのGenslerでの展示が始まった。自宅で祝杯。
イギリスから越してきた若い作家と一杯。
土曜日に早起きしてベーグルを焼いて、JazzKeirin(うどん屋さん)へ。
息子(4)が軽い喘息になった。でも元気。
放射能の汚染を気にして子供たちの飲食物を選ぶのにくたびれる。

二週間ぶりに絵を描いた。気持良い。
もうちょっと描きたい。
でも眠い。 

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2010年11月20日

エヲカク(21)



 昨日はまた、自分にとって何が重要で、何がそうではないのかということが、鮮明の度をひとつ増した一日だった。それは元より判り切ったことなのだが、生活のなかでそのバランスを維持することは年々難しくなってゆく。バランスを維持する困難が増すということが、即ちその作業を困難にしているということではなく、むしろ反対に、そして有り難いことに、できることもやるべきことも増えている。それは蓄積というものの効果だ。

 バランスを維持すると言うのは、丁寧に対処するということだが、それが抜け落ちると物事は成立しなくなる。気の抜けない日々。清濁清濁清濁。
 
 何のためにやっているかと言えば、本質的には自分の為なのだと思う。ただ、それだけで説明し切れないものがあるから、やっぱりやっているのだとも思う。それは絵に限らず、あれもこれも。

※ ノーベル平和賞授賞式、今年は中国民主活動家/劉暁波という人の受賞で大きな注目を集めているが、欠席は大国含む六カ国とか。様々な都合事情ありとのことだと思うが、平和の統一概念/理念は無いとの主張が明らかに通ったようで、ノーベル賞も政治利用。次の時代の幕開けなのか……。
 
 
 
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2010年11月01日

エヲカイタ 〜 Knst Oktoberfest'10 〜【アトランティスの建物の壁に描かれていた絵】

 台風直撃の10月30日、土曜日、八重洲富士屋ホテルにて約8時間ぶっとおしのライブ・ドローイングのパフォーマンスをした。「クンスト・オクトーバーフェスト 2010」の現場。




※ 現場に行ったらなんど自分がポスターになっていてビックリ

 当初はホテルのエントランス外の壁面を使って絵を描く予定にしていたのだが、暴風雨になる可能性アリとのことで、現場を急遽ロビー床に移すことになった。



 東京駅に近いホテルということで、英語、ドイツ語、フランス語、韓国語、中国語、それから中東のどこかの国の言葉らしき言葉など耳慣れない言葉も、日本語に混じって聞こえてくる。紙に、床に突っ伏している状態なので、彼等の様子を見ることはできないが、いろんな言葉が聞こえてくるのは楽しい。ラジオか無線の混線している電波のなかに浮いている感じ。
 それと大分県の高校の大規模な同窓会の参加者、60〜70代の男女多数来訪。

 それにしても長かった。硬い石の床に屈み込む姿勢で一日過ごし、身体中が軋む。特に膝がバカになる。移動のために立ち上がろうとすると狂牛病の牛のように膝が笑うようになる。


タイトル【『アトランティスの建物の壁に描かれていた絵』(マリオ曼陀羅)】
※ 写真をクリックで拡大版

 タイトルはこの絵を描きながら「ふっ」と頭をよぎった幻想からそのまま。
 プラトンが頭のなかで訪れたアトランティスに、もしかしたらイデアがあったんじゃないかなあ、などと妄想しながら。
 そこに意識を泳がせて、モチーフを拾って持ち帰り、それを目の前の紙面に写し取るというのが、ぼくの絵を描く行為だと思っており。


※ 部分拡大


 それでもどうにか午後7時過ぎ、絵が完成。
 描き上がったばかりの絵を、このイベントのクロージング・パーティーの会場である同ホテル2階の広間へ移して展示。

 悪天候のなか、それでもじゅうぶんな賑わい。

 スピーチにて、このイベントの主催者がオフィスシオバラの塩原さんだったことを知り、驚く。
 が雑誌「PEN」の編集者をしていた頃、現代アート特集の記事を書いて、その縁で接点ができて知り合った人。2006年くらいに妻に紹介されて塩原さんのオフィスにお邪魔してアドバイスを頂いたことなどあったけど、少しでも落ち着いての対面はとても久し振り。


※ ぼく、塩原さんと奥さん


 今回この場所で絵を描かないかと有り難いオファーをくれたのは、何かとお世話になっているレントゲンヴェルケ A/G の池内さん。パーティーではいつもの“DJ親方”として親方DJ/80'sバージョンで場を盛り上げていた。
 いろんな人達と話できて楽しかった。


※ 今回の縁起、DJ親方こと池内務氏と
※ 手にしているのはこのイベントのスポンサーでもある小江戸/川越の地ビール「COEDO」ビール。5種類中スタウト、ラガー、白、エール(?)の4種類いただきましたが、美味しかった!!


 ぐったりと疲労したけど、お陰で絵は好評で良かった。
 肉体労働の心地良い疲労。

 パーティーが幕を閉じたあと、ひとりでゆっくり恵比寿の新装トラウマリスの住吉さんのところに寄って、ワインで談笑して、そのあと下北沢でリンネで飲んで朝方帰宅。

 翌31日の今日は前進ものすごい筋肉痛。ちょうど自家製梅酒と共に実家から送られてきていた香港の唐辛子湿布があったので、筋肉痛のひどい臀部と、それから両肩に貼る。ものすんごく熱い。ものすごーくヒリヒリする。しかしそれが心地良い。


 唐辛子万歳。

 あー疲れた。

 しかし本当に良かったな〜。
 
 今回の絵を描いている際の頭のなかでは、なにがどんな感じになっていたのか、なるべく忘れないうちに書いてみたい気もする。
 
 こうして素敵な場所で絵を描かせてもらえて、それを更に楽しんでもらえるというのは、本当に信じられないくらい有り難いことだなと、今回もまた深く深く実感したなあ。
 
 

 
posted by マリオ曼陀羅 at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ewokaku | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月30日

エヲカク(20) 〜長〜 明日は7時間。おまけに暴風雨?

 そろそろ仕事にも馴れていい筈なんだけど、13年間やっていて未だ馴れない。と思うと同時に、馴れてはダメだなと思わされることもしばしば。新たに読みたい本、新たに読んで欲しい本のどれもこれもが未知との遭遇なわけだから、馴れるという行為とはベクトルが逆向きで、永遠に相容れないのかもしれない。商売に馴れないのは問題かもしれないが……。馴れてしまってはいけない物事というのがある。ような気がする。

 何度回を重ねても馴れない素晴らしいことのもうひとつに、絵を描くこと。特にそれがライブでの現場の場合、その直前の身震いしたくなるようなこの感覚は、いつ何度味わっても素晴らしい。思わずお酒が進んじゃう。今年の前半に「あ、馴れてしまいそうだ」という瞬間があり、それはまた種類の異なった身震いを伴って訪れ、それから意図的にライブの回数を減らした。今思えば、その時に感じた思いは気のせいだったのかもしれない。なにかがおざなりになっていたのかもしれない。



 東京はここ数日のうちに一気に秋の気配を深め、肌で感じる空気が冷え込んだ。
 気象予報士の資格に向けて勉強しているという知人と会った。この気圧配置に台風の接近は、珍しいとのこと。もう珍しいことだらけで、ほとんどのことには驚かない。これも歓迎すべきではない馴れなのか。

 明日(10月30日/土曜日)は雨。下手したら台風。暴風雨が東京を直撃するという予報もあるようだ。

 明日は絵を描く。八重洲の富士屋ホテルのエントランス部分。7時間の長丁場。エントランス部分は屋外だが、車寄せになっており広い屋根の下だ。壁面はゴツゴツとしたレンガ作り。高さ3m。そこに0.6mm厚のプラスチック板を貼りつけて、その上に幅 185cm の鳥の子の和紙を上から下まで貼りつけて、絵を描く予定。
 暴風雨が直撃する時間と重なるようなことがあれば、現場はロビーの内部に移される模様。現場設営をする朝の段階で、どこまでその先の天気を読めるのか。できれば嵐のなかで絵を描いてみたい、という気持ちもある。屋根があれば恐らく大丈夫。風と雨の音を背後に、間近に聞きながら大きな絵を描いたら、それは気持ち良さそうだ。

「クンスト・オクトーバーフェスト 2010」という、現代美術系のイベントの余興。

クンスト・オクトーバーフェスト2010
http://bit.ly/9qAKqU


 ここ数年のうちに現代美術画廊の密集地帯の様相を呈してきた中央区/千代田区あたりのギャラリーを数台のバスが巡回しツアーするというイベント。日本橋ルートと銀座ルートのバスの乗り換え地点となるのが八重洲の富士屋ホテルの車寄せ。
 午後7時半からは同ホテルの2階の広間に関係者や物好きが集まってクロージングパーティーが催されるようで、最終的には僕の絵はそこで再披露されることになるとのこと。

 僕は自分の描きたい絵が、それに拠って説明してみたいことが明確にあって、ただそれを上手く言語化できないことから、視覚表現を繰り返し続けている。少なくとも自分のなかで「やりたい」ことが明確で、ただただそれをし続けている。勿論、続けてゆく中での微妙な変容はある。しかしモチーフは常に、飽きもせず同一だ。想像を伴った写経のようなものだと思う。そのようなメディテーション的な効果が、その行為に伴う。そもそもこれを描き始めた2001年当初、その役割の主たるところはそれだった。均衡を得ること、開放を得ること、超越を試みること。続けているうちにそれが自分のなかで様式化されていった側面はある。
 馴れたのか? と感じた瞬間はほかにもあった。でもそうではなかった。ある種のオートマティズムは生まれたが、その先に微妙な変容があることを知ることができたことが持続の理由の大きなところだと思う。内的変容の、その微かなところというのは、少なくとも僕の場合、日々の営みのあれこれ全てに木霊して響くものだと感じた。その結果としての営みに作用されて促される表現上の変容も、個人的なこととして明確に感じる。この明確さを伴う変化が生んでいる日常における効果というのは大きい。
 よくできた増幅装置だ、今のところ。
 ちょっと大袈裟に言えば、最大の生命保険だと思う。

 明日は暴風雨のなかで絵を描くことができるのか? 
 暴風雨は直撃してくれるのか?
 わくわくする。
 絵を描き続けるというのは「馴れ」とは無縁の行為だと思う。
 だから暴風雨が楽しみだ。

 仕事は難しいな、と感じるがしばしばある。馴れないからだ。そういう時に不毛なことや困難が重なると人生をつまらないものとして感じてしまう危うい瞬間もあるけど、考えてみたら子供の頃から良くも悪くも事件の連続で、なにもなかった年なんて無かったな。むしろ出来事としてはかなり過激なことも多かった。外国の拘置所の夜とか最悪ですよ。幸いにしてシラフじゃなかったからか、今となっては楽しい記憶になってしまっているけれども。拘置されただけだったしね。なんにせよ不思議な境遇というのがあって、お陰で幼い頃から日常的な絶望感だけには事欠かなくて、でもその感覚の蓄積がある時にある特定の幸いな方向へと破裂したのが、絵だったんだろうな。だから2001年はモニュメント。細かく言えば「2001年10月9日/深夜(フランクフルト時間)」 
 ……ってことは九周年を忘れてた!

 まあいいや。

 とにかくやりたいことも言いたいことも(言えないけど)明確だから、それだけできればいいやという感じ。明日は楽しみだ。

 声を掛けてくださった池内さんありがとうございます。
 
 
 
 
 
 
posted by マリオ曼陀羅 at 02:53| Comment(0) | TrackBack(0) | ewokaku | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする