■ エヲカク ■

2015年04月17日

ノスタルジー

子供を持って荷物が増えて引っ越しを重ねて、その過程で自分の荷物をかなり処分して、レコード/CDは売りに行くのも面倒くさくなって殆どゴミにしてしまったんだけど、あの時のゴミ出しは凄かった。レコードは盤とジャケをそれぞれ不燃と可燃に分けて70リットルのゴミ袋にいくつも片っ端からとにかく放り込んだんだけど、黒光りするあのレコードの山は巨大ゴキブリの群れのようだった。時々交じる突然変異のcolor vinylが眩しかったぜ。取捨選択しようとすれば片付かないから、友人の(もしくは友人のレーベルの)音源だけを残して、あとは一瞬の躊躇の後ほぼすべてゴミにした。ターンテーブルもCDの再生機もミキサーもアンプも、場所を取るので人に譲った。

こないだ同じマンションの住人が、僕が捨て去った変な音源をいくつも持っていることが判明。同世代で趣味が近かった。貸してくれたので今夜は懐かしい音♪

JBLのBluetoothスピーカー(CHARGE2)とても優秀♪

音楽は記憶を引き連れてくるなーやばいやばい

マンション暮らしも悪くないです( ´ ▽ ` )ノ




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2013年07月26日

汽車と川

本棚を掘ってたら久し振りに再会。で、書き写したのをコピペ。書き写したというかタイプし写したんだけど。で、この詩の流れを追いながら、想像に浮かび上がってくる一篇のショート・アニメーションのようなイメージが楽しく、今夜も飲みたくなってしまいましたとさ。


汽車と川 〜ジミー・ジェフリーに〜
            谷川俊太郎

汽車は川に沿って走ってゆく
真黒な顔をしたちっぽけな汽車だ
川は汽車に沿って流れてゆく
名前もついてないささやかな川だ

汽車は川に沿って走ってゆく
汽車はどんどん川を追いこす
けれど追いこしても追いこしても
汽車は川を追いぬいてしまうことができない

上り坂にかかるとちっぽけな汽車はあえぐ
けれどそんな汽車に知らんかおで
相変わらず楽しそうに歌いながら
川は坂を上って流れてゆく

赤信号の腕木があがると
ちっぽけな汽車はがたんととまる
けれど川はとまらない
川には信号も駅もないので

その代り川には時々橋がかかっている
橋の上にはたいてい鼻たれ小僧がいる
かれらはちっとも川を見ないで
ちっぽけな汽車にばかり手をふっている

汽車には犬小屋みたいな客車がついてる
だがそこには犬は乗っていない
人間の男と女が窓にもたれて
ピーナッツをつまみながら川を見ている

汽車の上から川を見ると
川には魚が泳いでいる
魚は流れにさからって
いっしょうけんめい泳いでいる

「魚って馬鹿ね」と女は云う
男はなんとも返事をしない
雲間から太陽が顔を出し
川面を輝きながら汽車と一緒に走ってゆく

駅だ
突然どやどやと人が乗りこむ
ししっぱな だんごっぱな
にきびっつら だいこんあし
かなつぼまなこ やぶにらみ
でっちり はとむね にじゅうあご
釣ったばかりの魚をさげた
ぶしょうひげのおやじがいる
川底のきれいな小石を拾って
ハンケチに包んだ女学生がいる
赤白に塗り分けた棒を持ち
長靴から滴をたらす測量技師たちもいる
いましがたきれいな川の水を
水筒にいっぱいつめてきたハイカーもいる
だがかれらはもう川を見ない
野球や月給やお灸の話をしている

汽車は川に沿って走ってゆく
川に沿った汽車に沿って
電話線も走ってゆく
もしもしもしもしと走ってゆく

汽車は川に沿って走ってゆく
窓にもたれてピーナッツをかじりながら
女は云う「あんたの横顔ってすてき」
男はなんとも返事をしない

汽車は川に沿って走ってゆく
真黒な顔をしたちっぽけな汽車だ
けれど川はだんだん大きくなってゆく
だんだん広くなってゆく

川はすっかりおとなっぽくなり
流れかたまで悠然としてくる
おちつきはらってボートを浮かべ
清濁あわせのんでいる

やがて川は海に出る
そのとき汽車は港に着く
それから先へ汽車は行けない
けれど川はどこまででも行ける

大きくのびをして
川が海へと出てゆくとき
小さなくしゃみをして
汽車は引込線をバックしてゆく

「どこへ行くの? 私たち」
ピーナッツをかじりながら岸壁の上で女はきく
男はなんとも返事をしない
夕陽をみつめて返事をしない
 
 
〜〜〜〜〜〜〜

谷川俊太郎は時に流行映画の監督みたいなバランス感覚の持ち主だと思う。この詩が書かれた70年代、ぼくはまだささやかな川で、小魚のぴちぴち泳ぐ清流でしたね! 今はどのあたりだろう?? ゆらゆら。
 
 
 
 
posted by マリオ曼陀羅 at 02:29| Comment(0) | TrackBack(0) | poetry? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月05日

i'm nobody

あーでもない、こーでもない。
すべては状況次第、というコトらしい。

状況の及ぼす作用は大きいものの、それは世の常と引き受けて、あとはブレずに進み続けてゆくしかないのかな、というコトだ。

すべては nobody であるところの自分の属性に過ぎないのではないのかな、というコトのような気さえする。

歳月を費やすごとに増え続け、場合によっては重みを増すその属性の、必要な部分から先ず維持してゆくのが nobody たる生物の、その本能であり義務なのだ、というコトでは無いのでしょうか?

あーでもなくない、こーでもなくない。

深夜のラム、深夜の静寂。
posted by マリオ曼陀羅 at 01:17| Comment(0) | TrackBack(0) | poetry? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月07日

East London 某所にて

深く、大きなソファーに沈んでいたら「煙草を一本もらえないか」と声がしたので、アメリカンスピリットを一本差し出した。イタリア語の方を流暢にを話すその青年は、煙草をふたつにちぎって、フィルターの付いた方の半分をこちらに戻し、片言の英語で「半分だけでいいよ」とはにかみながら、手元に残った煙草をほぐしはじめた。左手のなかには、また違う白い紙が広げられている。

もしかしたら、僕の煙草の残りが少なかったのを見て、半分ちぎって返してくれたのかもしれないな。ポケットのなかにもう一箱あったのに。良い奴。とか、そういうのはどうでも良かったのかもしれない。巻けさえすれば?

neidichLRnewsletter.jpg横のギャラリーでは、Warren Neidich というベルリン在住アメリカ人のアーティストが、すぐに始まる自身のエキシビションのために、黒い作品群で壁を埋め尽くしている。ベルリンから一緒に来たというアシスタントの、背の高いドイツ人の仕事の、淡々とした正確さ、緻密さが素晴らしい。

ここのギャラリーの持ち主でもあるイタリア人も、結果を見ればかなり正確で緻密な仕事をするのだが、そこに至るまでのアプローチの過程がまったく違う。めちゃめちゃ乱暴。やはり、それぞれの国民性の違いなのか。

この展示のために、わざわざ黒く塗り代えられたギャラリーの壁を埋め尽くす作品はというと…… 「えー! これどうやって撮ってるの!?」と言う驚きを提供。

邪魔になるかと思ったけど、思い切ってその質問を投げてみたところ、Warren Neidich 本人は、包み隠さず全てのプロセスを説明してくれた。いつからその手法で作品を作っているのかまで聞かせてくれた。しかし…… その説明の意味がまったく理解できず「it's that simple!」と胸を張られてもこちらは混乱するばかり……。

その後、この展示の為の制作がどれほど地獄の作業だったかに話が及びはじめた時に、ちょっと小太りで優しく気のいいオッサン風(でもその実かなり几帳面)のWarrenさんは我に返ると、また厳しい目付きになって作業に戻っていきました。

煙に巻かれて、またソファーに沈む。
posted by マリオ曼陀羅 at 21:56| Comment(1) | TrackBack(0) | poetry? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月02日

鉄砲反対!!

a20070121141750_00001.jpg 偶然とは、もしかしたらあらゆることの原因ではないだろうか? それが必然だ、と言う疑り深い人もまた居る。

 ニューヨーク。あるオフィス。この街の歴史を感じさせる大切な物に囲まれた小さな会議室。

「楽しい週末になるといいね」
「ジャックダニエルスの大瓶よ!」

 ぼくはふたりの会話に頭を傾げる。 

「俺たちの週末は飛行機で空の上さ……」

 意識を雲のうえにぷかぷか気持ち良く漂わせていたら、いつの間にか、ふたりの話が不穏な響きを帯びはじめており、ぼくの意識は会議室に引き戻される。
a20070121141750_00006.jpg
「銃を撃ちたいんだ」
「銃を? 偶然ね。わたしも撃ちたいと思ってたの」
「ニューヨークに銃を撃てる場所ないかな」
「銃を撃つのって、極めたい技術よね。こないだの週末、旦那にそう言ったの。そうしたら彼、おまえがそんな風に大酒飲みながら拳銃なんて手にした日には、俺はすぐにここを出て行くからな! だってさ。あははは」
「銃を撃ちたいよ…… ニューヨークならどこかあるはずだ」

 彼女は、探るような目で、彼を見ている。

 ぼくは我に帰って、彼女に尋ねる。

「銃を撃つのは、技術じゃないよね?」

 彼女の黒い目が光る。
「銃を撃つのは、技術よ。それも大切な技術」

 ぼくは頭を抱える。銃を撃つのは技術なのか、爆発する感情なのか、それを考え、悩む。確かに、銃を扱えなければ、撃つこともできないだろう。でも銃は、そもそも扱い易くデザインされているのではないのか。この右手にしっかりと納まるようなグリップが…… ちょうど人差し指の力が加わりやすい位置にあるトリガーが…… 不用意に人に向けたら、お終いだ。 ……ぼくにはできない。a20070121141750_00017.jpg

「俺は人には向けないよ」

「……ウエストリバー射撃場があるわよ」彼女が頷く。

 うそ!? ほんとに撃っちゃうの? えーっ!! ちょっとちょっと、待って! 待ってください。ほんとに撃つんですか? って言うか、なんでそんな場所があるって、もう知ってるの? 予め探してあったの? 「……YES。銃は、重いわよ」
 
 ふたりは楽しそうに笑っている。想像くらいつきますよ、重いのは。

「また会うのを楽しみにしてるよ。自分の足を撃たないようにしないとね!」
「わたしもよ。こんな話になるとは思わなかったわ」
「俺もだよ。今度またニューヨークに来るのが楽しみだ」
「あんまり、人前ではできない話よね。くれぐれも、お酒には気をつけてね」

 ふたりは、意味あり気に微笑んでいる。

 おいおい、勘弁してくれよ! そういうことか!? どういうことだ!?

「もちろん、ぼくは行きませんからねっ!」
「おお、いいよ。俺だけ行くから。その間、ギャラリーでも回ってきなよ」

 ……ということで、SOHOにある、某ギャラリーに出向いた。聞いていたとおり、強烈なインパクトを感じさせる作品群が、壁に並べられ、展示されている。長く付き合いのある仕事仲間の母親が運営しているという情報を得て、早速訪ねたのだ。なにかはあるだろうと感じていたが、予想通り、素晴らしかった。なるほど。

 彼女が階下から階段を上ってくる、軽い足音が聞こえる。

「まさか本当に来てくれるとは思わなかったわ〜〜っっ!」
posted by マリオ曼陀羅 at 15:11| Comment(6) | TrackBack(0) | poetry? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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