2024年03月18日
2020年07月23日
『ザリガニの鳴くところ』
2020年05月02日
本の紹介
2019年12月04日
ジェフ・ヴァンダミア『DEAD ASTRONAUTS 』本日出版
2019年11月15日
DEAD ASTRONAUTS by Jeff VanderMeer (ジェフ・ヴァンダミア)/MCD Books
2019年07月09日
映画『新聞記者』プロデューサー河村光庸さんのこと
2019年01月09日
本メモ
【講演録】アマゾンと日本の出版流通
2018年12月03日
ジョナサン・フランゼン『コレクションズ』
2018年10月10日
SUB-RIGHTS #10 − CHUMP CHANGE by Don Fante / 『天使はポケットに何も持っていない』ドン・ファンテ
2017年08月22日
『<帰国子女>という日本人』品川亮 著(彩流社)
その複雑な思いを自己分析的に整理しながら、いろいろ相対化しようと試みることで、<帰国子女>という呪詛と立ち向かうような本で、……僕はなんというか、Bluesを感じながら読みました。
特に、まだいろいろと無自覚な少年時代のスナップショットのような記憶は、実にリアルで瑞々しく面白かったです。本格的に日本に居を移した高校生以降、自分の内外に芽生えた摩擦も苦いリアリティでした。ある個人の実体験を通じ、その苦悩や戸惑いのプロセスを共有できる、興味深い読書でした。
先進国、途上国、英語圏、非英語圏、加えて、日本人学校、インターナショナル・スクール、現地校、海外生活をした年齢、帰国後の環境なども含めると、<帰国子女>のバリエーションは実に様々で、相対化するのは非常に困難だろうと思われますが、<帰国子女>達への取材を通じて、そこに一本の筋を通そうという意欲作だった。しかし当事者たちの問題は解決しないだろうという思いが残って、それもまた読書として面白かった。
著者と僕はほぼ同世代(品川さんの方がちょっとだけ歳上)で、2歳〜小2まで、つまり7歳くらいまでの5年間(70年代)、それから小6途中〜中3までの約3年間(80年代)をペルーのリマの「リマ日本人学校(通称リマ校)」で過ごした人。つまり中学を出るまでに計8年間を日本の国外で過ごしたハードコア帰国子女です。その後、90年代には<帰国子女>をこじらせた挙句、大手企業の内定を蹴って渡仏。映像作家になる。その後『スタジオボイス』誌の編集者から編集長を経て、他社に移籍しての書籍編集者を更に経て、今はフリーランス(編集、執筆、映像作家)。
著者が「リマ校」で密度の濃かったであろうと思われる時間を共に過ごした<帰国子女>たちとのその後の交流について、第一章のなかで<「治療集団」的側面を持つ小集団>という箇所で、少年少女たちが青年になり、その過程で形成されていった互助会のようなグループについて書かれており、その必然性・必要性が痛いほど分るような気がして胸に沁みました。
主に10代20代のちょう多感な頃に、僕が発売日を待って読んでいた雑誌の編集に深く関わっていた人と知ったのは後からですが、抑えの効いた社交術の持ち主で、大人っぽく気さくなところもあって、おまけに僕などの目には華々しく映るキャリアの持ち主で、やっぱりすごい人がいるんだなぁと、ご一緒させていただく機会には、なんかそんなことを思いながら嬉しく酒を飲み交わしながら、でも話の端々に、不思議なほどの謙虚さを(いい意味で)感じていた人です。その謙虚さを僕は、僕のようなよくわからないし物も知らない者に対するときの、彼自身の心優しい社交バランスのようなものとして捉えていた向きもあったのですが、本書を読んで、ああ、そればかりではなかったのかもしれないと思い至ったのでした。
つまり、<帰国時子女>であることを宿命付けられた、日本人なのに<異邦人>としての著者の像が、この本を読んだことで浮び上がり、日本という国の、独特なドメスティックな世界を、善きにつけ悪しきにつけ、再確認したのでした。そんなドメスティックな世界に対する警戒心は、考えてみれば、僕にも理解できるものでした。
ちなみに僕はいわゆる<帰国子女>の枠に入らない、ゆるふわな海外経験者(小4〜小5にパリ郊外1年、高校時代のトラブル諸々でオーストラリアのメルボルン郊外で約1年、その後の大学生活で2年くらい)なのですが、非常に共感すること多かったです。
特に幼い頃を(親の都合で)海外で過ごし、その後の拠点が日本となっている人には、いろいろ沁みる一冊だと思いました。
自己肯定感ってなんだろうという思いが、しばらく経って訪れました。
余談かもしれないけど、<ハーフ>という日本人の友人たちにも思いが及んだ。「アイデンティティ」を探し求めていた彼等のうちの数人も、落ち着く先が日本じゃなければ背負う必要のなかったトラブルを抱えていたのではないか、という仮説。そんなうちの一人は、その「アイデンティティ」の問題故に発狂した。まあ両親が日本人の日本育ちの日本人でも発狂するから、なんとも言えないけど。
この本は「すれすれ」のところを感じさせずに書かれているけど、でも「すれすれ」の瞬間も多くあったんだろうなあ。と(厚かましくも)思いました。勇気ある一冊で、少年時代を懐かしく感じることもできて、とても嬉しかったです。
『〈帰国子女〉という日本人』
品川亮
出版社: 彩流社 (2017/8/4)
ISBN-13: 978-4779170966
→ https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4779170966/
【参考情報】
『H.P.ラヴクラフトのダニッチホラー その他の物語(DVD)』
ジム・オルーク (出演), ミッキー・カーチス (出演), 品川亮 (監督)
→ https://www.amazon.co.jp/dp/B000SKNPSG
2017年06月13日
本の未来を探す旅〜ソウル
2017年05月12日
SUB-RIGHTS 連載開始! (DOTPLACE)
出版系のウェブメディア、DOTPLACEにて、恐れ多くも僕のWEB連載『SUB-RIGHTS』がはじまりました。
翻訳出版の舞台裏ってどうなってるの? 版権エージェントって誰? 仕事を通じて経験したあれこれを、メモワール形式で振り返ってみたいと思います。お読みいただけますと幸いでございます。
約20年前にたまたま、ほんとにたまたま足を踏み入れることになった版権エージェントの世界で出会った恩師、故ウィリアム・ミラー(William Miller)さんのオマージュできたら良いなと思っています。人生には、人との出会いで思い掛けない素晴らしいこと面白いことが多く生じますが、初めて勤めた版権エージェンシーの社長であったミラーさんとの出会いは、僕の人生にとって最大級の出会いのひとつでした。残念ながら彼は2009年に亡くなってしまいましたが、未だに僕は大小様々な決断をしなければならないときに「ミラーさんだったらなんて言うだろう?」と想像します。するとあの声と眼差しが蘇ってくる。僕がミラーさんの会社に在籍したのは、わずか3年弱という短いあいだでしたが、その後もずっと、折あるごとに顔を合わせ、時には一緒に旅に出ました。なにより本当によく飲み交わし、話をし、多くを学ばせてもらいました……。
この連載を続けながらまたミラーさんとの時間を過ごすことができるのかと思うと、それがなにより嬉しいです。
機会を与えてくださった DOTPLACE編集長の吉田知哉さん、心よりありがとうございます!
それにしても、ますます自分が何屋さんなのか分からなくなって参りました。
今夜は満月です。
#SUBRIGHTS #DOTPLACE
おそろしや〜!
2017年04月12日
『なぜ働くのか』バリー・シュワルツ著/TED Books/朝日出版社【本日出版】
「なぜ働かないのか」と方々で叱られながら、こんなことをしておりました。
2017年03月25日
【祝・出版】『今日も、ごはん作らなきゃ のため息がふっとぶ本』
毎朝のように財布や鍵や書類などが見つからず、ため息(と八つ当たり)ばかりの奥さんの新刊『”今日も、ごはん作らなきゃ”のため息がふっとぶ本』ってタイトル長すぎて覚えられないから『〜ふっとぶ本』今日(3月25日)出版されるようです。
キッチンが便利になるアイテム集めから、肉の焼き方のコツとか、合わせ調味料の相性チャートとか、一週間の献立の考え方とか、下味つけて保存のテクとか、冷蔵、冷凍、煮る焼く揚げる茹でるetc.ほかいろいろ、いわゆる知恵袋的な一冊のようです。
これまでになくPOPなデザインで、見て楽しい本になってる気がしますが、それこそが「めんどくさい」を「楽しいかも」に脳内変換するコツだそうです。すごいですね。
NO FOOD, NO LIFE !!
→以下、なんか壮大な「あとがき」
※ポエムじゃないそうです:
>>
「ごはん作り」は毎日の繰り返し。
そして「食べるもの」をどう選び、どう作るかは、
私たちの考え方、生き方そのものだと思います。
しかし、自分のリソース(=時間、予算、料理技術)は
残念ながら限られているわけで……。
その中から最大限に
「自分にとっておいしいもの」
をひねり出したいというのは、
欲張りですが、でも、切実な願いですよね。
結果、「ごはん作り」の繰り返しが苦痛になってしまっては、
とても豊かな暮らしとは言えません。
ときには外食し、お惣菜を買ったりしながらも、
無理なく楽しく、
そしてできるだけおいしく、
日々の食卓をととのえて暮らせるようになれば、
生活の満足感や充実感はグンと上がることでしょう。
この本は、1ページずつめくるたびに
「おっ!」と楽しい話が出てくるように並べたつもりです。
忘れたころにパラパラとめくって、
「久しぶりに買った野菜を冷凍してみよう」
「今晩の夕食後に、ひとつ煮物をしてみよう」
なんていうように、
「あっ、これ忘れてた!」という
生活の工夫を思い出すきっかけとしていただければ、
これよりうれしいことはありません。
「ごはん? かんたんだよ!」
と自信を持って過ごせるようになれば、そのゆとりは、
仕事や人間関係など日々のいろいろなことにも、
必ず余裕を生み出してくれるものと思います。
料理を楽しみ、自信を持って過ごせることで、
明日も、またさらに素晴らしい1日になりますように。
<<
→『今日も、ごはん作らなきゃ』のため息がふっとぶ本
田内 しょうこ (著)
発行元:主婦の友インフォス
発売元:主婦の友社
https://www.amazon.co.jp/dp/4074202220/
……ということで、皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。
料理は楽しいよね。
#家庭料理 #時短料理 #レシピ #キッチン #料理 #台所 #料理本 #ズボラさん必見 #主婦の友インフォス #主婦の友社 #ふっとぶ本 #今日もごはん作らなきゃのため息がふっとぶ本
2017年02月07日
PIMP復刊(間近)!!
※なお、エルロイからウェルシュまで、その後の白人作家達にも幅広く影響を与えた模様。
ぼくは約20年前にこの本と出会い、2001年、大好きな浅尾敦則さんの翻訳で、当時仲の良かった出版社(アーティストハウス)での翻訳出版を実現することができたときには思わず小躍りしたものです。しかしそのアーティストハウスがなくなると同時に、この本も<絶版>となってしまいました。めちゃめちゃもったいない!!! と、ずっと頭の片隅で思い続けてきましたが、なんと去年、DU Booksの編集長・稲葉さんが手を挙げてくれて、あの浅尾さんの名訳のまま(!)念願叶って復刊っ! という流れが生まれたものの、考えてみればぼくは既に版権エージェントの仕事をしておらず、翻訳出版権の契約手続きなどする手段がない!!! ということで、慌ててバイト先の某老舗エージェンシーの助けをお借りして、無事、この3月に復活されることに。
アーティストハウス版では、正直ちょっと微妙な感じだった表紙デザインも一新されることになりそうで、とにかく3月が待ち遠しい。この本を読む人がこれでまた増えるかもしれないと思うと、ほんとわくわくします。お楽しみに!!
→ ギャングスタラップに多大な影響を与えた伝説のピンプの自伝的小説が復刊
(MUSIC 2017.02.05 FNMNL編集部)
http://fnmnl.tv/2017/02/05/21759
2017年01月31日
フィリップ・K・ディック、まさかな思い出
2016年09月26日
Rick Lightstone 訃報
アムステルダムの一角、Spui に American Book Center(ABC)という素敵な書店があって、Rick Lightstone はその書店のマネージャーをしていた。朝4時台に目覚めると、まず二時間ほど本を読むことを日課にしていると Rick は言っていた。それから一日の支度をはじめ、ABCに行って、オフィスでまた読む。それから仕事に取り掛かる。夜、帰宅して、また読書する。The Band のロビー・ロバートソンの音楽を愛するカナダ人で、アムステルダムの住人だった。はじめてRickと会ったのは確か2007年。Trolley Booksの Gigi がぼくの初めての本のUK版を出版してくれて、その出版イベントをRickが主催してくれたのがきっかけだった。そのGigiも2012年の暮れに若くして亡くなってしまった。ぼくがヨーロッパに行かなくなった2014年の終わりまで、ほぼ毎年、機会があればどこかで顔を合わせるようにしていた。2014年の秋には、またABCのショーウィンドウをぼくの絵で飾らせてもらい、その後そのまま飲みに出かけて、ローカルバンドのライブを見ながら夜が更けた。そのときが最後で、この2年ほどは会う機会が無かったけど、この夏、あるプロジェクトを温めているからSkypeで話したいとメッセージが来て、簡単な遣り取りを交わした。お互いに日々が慌ただしかったのだろうけど、タイミングを逃しているうちに、こんなことになってしまった。かなしい。
こんなことを言うのは柄でもないけど、あの世でRickとGigiが落ち合うようなことがあるなら、酒でも飲んで、いずれまたぼくのことも仲間に加わえて欲しい。
Rickが頭のなかで温めていたというプロジェクトがどのようなものだったのか気になる。どのような最期だったのか知らないが、それも気になる。遠くにいると、あまりにも呆気なくいなくなってしまったように感じる。ぼくもいずれいなくなるのだろから、頭のなかにあることを、まだこの世にいるうちに出してしまわないといけないなと思いながら、いろいろ手につかず、杯を持ち上げている。気の合う人でした。
2016年09月15日
【朗報】『忙しいママでもできる! 毎日の時短ごはん』― 出ました!
世の働くお母さん達(の多く)がいかに過酷な状況に身をおいているのか、なぜそのような状況が生まれるのか、最近になってやっと、はっきりと飲み込めてきた気がしております。
1)旦那衆が家事を分担しない。
→そもそもその発想に乏しい。
→どこに手が必要なのかすら考えない。
2)ワーママ衆の就労環境が依然厳しい。
→女性の活躍を〜とか言ってる時点で…
→育児中の場合、何をか言わんや状態。
3)ワーママ衆の家事スキルの低さ。
→これ、(自分含め)旦那衆の家事スキル/家事意識の「無さ」と比べれば、「人にあれもこれもやらせておいて、なにを偉そうに言っているんだオマエは…」と、おっかない奥様方のお怒りの声が聞こえてくるような気もするけど、仕方のないことなので、敢えて言います(※ここではキッチンに話を限定)。
そもそもキッチンに立つこともほとんどないまま、学校に通い、塾や予備校にも行き、さらに進学して、就活して、就職して、働いて、残業して、……って、その間ず〜っと親の手料理か、外食か、お惣菜かで過ごしてきた人達が、ある日結婚したり子供を持ったからといって、いきなり料理上手になったりする訳がないんですよ。ママだろうがパパだろうが。勉強ばっかりしてきた人達も、遊びまくってきた人達も、ここは概ね平等です。
場合によっては家庭を持って、はじめて包丁を握るみたいな人が、かなりいるんだなあということが、なんとなく分かってきました。特に、勉強熱心、仕事熱心でやってきた人達ほど、包丁? なにそれ切れんの? というような状況なのは、もう仕方ない。これが現代社会の歪みDA!
子供を抱えて外食もままならず、育児に金かかるし、少しでも安心なもの食べさせたいし、じゃあ自分(達)でやるしかねーなと思っても、……そうこうしているうちに、やばい、仕事に行かなきゃ! 保育園に連れていかなきゃ! 仕事を終えてくたくたになって帰宅して、腹を空かせた雛鳥抱えて、うわ! 晩御飯どーしよう!!! ……となるのはもう、どうにもこうにも仕方ないことなのではないかと思うわけであります。え? 明日お弁当!? きゃー!!!!!
だから、こういう本は必要であると、だから思い当たる人は手にとって見て欲しいと、きっと役に立つからと思うわけであります。
>『忙しいママでもできる! 毎日の時短ごはん』
田内 しょうこ (著),
現役ママの編集チーム まちとこ (編集)
<辰巳出版>
【Amazon】https://www.amazon.co.jp/dp/4777817555/
【楽天】http://books.rakuten.co.jp/rb/14380673/
ちなみに何故アマゾンや楽天のリンクを貼るかというと、この本が必要な「忙しいママ」には、本屋に立ち寄る時間なんてこれっぽっちも無いからです。そりゃ小売店も苦戦するし、奥様方もどんどん恐ろしくなるわ。
どこかの駅の啓文堂。
忙しいワーママでも、駅の本屋さんになら、どうにか立ち寄れる!?
編集チーム「まちとこ」の面々の、現場への足はこれ!
「忙しいママでもできる! 毎日の時短ごはん」深夜の原稿執筆で、ますますおっかない奥さん。スワローズの試合結果を見て、怖い顔をしているわけではない(と思う)。
2016年07月10日
『国のない男』
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願わくば、わが連邦政府を、ひいては全世界を乗っ取った連中、それもミッキーマウス的クーデターによって乗っ取った連中、そして憲法によって据えつけられた防犯装置をすべて外してしまった連中(憲法というのは、言い換えれば、議会であり、最高裁であり、われわれ国民なのだが)、そういった連中が本当にクリスチャンでありますように。しかしウィリアム・シェイクスピアも昔こう言っている。「悪魔も聖書を引くことができる。身勝手な目的にな」[『ヴェニスの商人』第一幕第三場]
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この本でヴォネガットが主に書いているのはその後ますます泥沼化してゆくアメリカの当時だけど、恐ろしいくらい今の日本に通じる内容に思えてしまう不思議。
ものすごく内省的な眼差しでもある。おすすめ。