すす数週間前にふと思い付いて発注した作品が仕上がったという報せを昨日、写真と共に受け取って、小躍りしながら缶ビール片手にピックアップしてきた。
フェルトと刺繍のブローチ/ワッペンを作っているヤバいアーティストのRHYTHMさんという人が近所にいることを知ったのは割と最近のことの筈だが、その頃にはまだコロナの影は見えておらず、今となってはもう遠い過去のような気さえする。
とにかくその時に、思い出深いSANTA CRUZのスクリーミング・ハンドを模したデザインのワッペンを目にして思わず購入した。
→ RHYTHM インスタグラム
作品をいろいろ拝見していたので期待はしていたけど、そのはるか上をいく仕上がり。ベースはピンクのレザーで、グリーンのフェルトに色とりどりの糸とビーズでモチーフが現されている。サイズは左右10cmほど。掌に納まるくらいだが、存在感がある。どこからどこまで手作業の作品。こういうのが欲しかった。
死角から突如やってきて、あっという間に僕たちの世界の景色を一変させてしまった新型コロナウイルスの2020年のことは、命がある限り忘れることはないだろう。モニュメンタルな何かが必要であると思い恐る々々アイデアを伝えたところ、気持ちよく引き受けてもらえて、ほっとした。
世界中で多くの人々が亡くなっている。実生活は言うに及ばず、情報空間の様相も一変した。
得体の知れない死のウイルスとその影響が人々に及ぼす不安と恐怖。その社会的、政治的な対応を巡って二分、三分される人々の社会心理がそこかしこで吹き上がり、それこそまさにウイルスの爆発的増殖のようだ。
昨夜も落ち着かず、いつものようにスマホの画面の情報を漁る(もうすっかり習慣化してしまった)。人々がそれぞれの感情を吐き出し、意見をぶつけ合い、ああでもないこうでもないと言っている。不信感や猜疑心、生活不安に蝕まれている社会の様子が、まるで濁流のようになってあの小さな画面を流れていくが、それが今この目の前の現実だ。
情報に囚われるなという人もいるけど、何も知らなければ守れないものもある。またここで何が起きているのかを事実として自分の目で確かめてもおきたい。幸いにして気楽な性質なので、今のところは情報にも殺されずにおり、また、おなじく幸いにしてウイルスにも殺されずにいる。
ただ、もしかしたらもう生きて顔を見ることは叶わないかも知れないなと思い浮かべる人々もいる。目の前のことだけに、できるだけ集中している。個人としてやってしまいたいことがいくつかある。
このコロナワッペン(と俺は呼んでいる)の写真のUPされたRHYTHMのインスタに添えられていた言葉が素敵だったので、メモ代わりにコピペしておきたい:
>>
コロナウィルスをブローチに
これを見てどのように思うかは
人それぞれです
与えられたこの時を前向きに
そして助けあって過ごせたら
素敵だと思います
健康であることを感謝して
体を大切に
<<
……同感です。
ものを作る人、手を動かす人の存在がありがたい。
識者、学者、人々、誰もがそれぞれのポジションをフィルターにした情報発信をしている。
こうなると信じられるのは、なにか信頼に足るものを作っている人の、感覚的な言葉だけ。
いかなる存在か、という前提は極めて重要だと改めて思う。
情報も汚染されてしまった。
昔の昔の大昔からそうか……
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