人の頭に食い込んで取れなくなった鉄兜を取る手伝いをしたことがあるんだけど、あれは面白いくらいうまく行った。スルッと抜けたもんな。いつだ? もう十年も前になるのか? どこだ? それは内緒。
あの時ぼくはそのめり込んだ鉄兜を、まず段階を踏んで一匹の鱸(すずき)に変えることに成功し、最後はそれをその人の頭からすぽんと抜き取って、それで解決したんだけど、なんのことかわかんないよね。
その鉄兜には、大砲の弾があたったか、なにか固いものに激しくぶつかったかのような、拳大にベコッと内側に凹んだ箇所ができていて、それが頭を圧迫するものだから、相当に痛そうだった。「取れない、取れない」と苦しそうに呻いてたけど、取れたらアハハと笑って、そのまま眠ってしまった。
思い出です。