■ エヲカク ■

2016年07月10日

『国のない男』

そしてヴォネガットの遺作となった『国のない男』再読。悲しいかなドンピシャのタイミング。2005年の本。なにが9.11の巨大テロを引き起こしたのか、その後の利権と嘘にまみれたイラク戦争を目の当たりにして、自身が幼い一兵卒として体験した第二次大戦の記憶を手繰り寄せたりしながら、人間の愚を大いに嘆くのだけれどもユーモアを決して失わない寛容な知性というのだろうか。すばらしー

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願わくば、わが連邦政府を、ひいては全世界を乗っ取った連中、それもミッキーマウス的クーデターによって乗っ取った連中、そして憲法によって据えつけられた防犯装置をすべて外してしまった連中(憲法というのは、言い換えれば、議会であり、最高裁であり、われわれ国民なのだが)、そういった連中が本当にクリスチャンでありますように。しかしウィリアム・シェイクスピアも昔こう言っている。「悪魔も聖書を引くことができる。身勝手な目的にな」[『ヴェニスの商人』第一幕第三場]
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この本でヴォネガットが主に書いているのはその後ますます泥沼化してゆくアメリカの当時だけど、恐ろしいくらい今の日本に通じる内容に思えてしまう不思議。
ものすごく内省的な眼差しでもある。おすすめ。

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posted by マリオ曼陀羅 at 17:28| Comment(0) | TrackBack(0) | book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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