■ エヲカク ■

2013年04月05日

bible 2013

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ル・クレジオ
『悪魔祓い』

「〜人々が発見するのは、人間の体験は宇宙の体験のなかに含まれているということだ」

「女性の美しさですら、インディオにとっては自然の美しさの一部にすぎない」(訳者:高山鉄男の解説から)

あたりまえ!

「芸術はたくさんだ、個人の表現はもうたくさんだ」

個人に終始する話は要らない。そりゃそうだ。
パブリックの拡張、ということを標榜すれば個人の話はエピソードでしかないよな。

「音楽と絵画と詩を律していたのは海だったので…」
「じつは紙の上に並べていたものは貝だった」
「人間の体験は宇宙の体験のなかに含まれている」
「都市は」
「原因と結果の組み合わせ模様を織りなしている」
「都市の策略の一つ」
「思い込ませようとしている」

どこもかしこも<誰かの場所>ということになっていて、“この世”は歩いちゃダメな場所だらけ。そんな話をしながら、こないだは野村さんとコーヒー飲んだ。歩かせないための仕組みが張り巡らされているんじゃないの? なんの為の仕組みでしょ? ル・クレジオに言わせると、それは「都市の罠」ということになるのかな。

「インディオが言葉や表現を警戒するのは、言葉や表現にともなう危険を意識しているからだ。言葉は//世界と連絡するための手段となるだけでない//自分を暴露すること自分を危険にさらすことともなり得る」

言葉は呪術だよね、それは知ってた。

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こないだの商店街の桜祭りのビンゴ。2本ゲット! 珍味!

ところで先日、踊り手の牧瀬茜さんの裸体に絵を描いた時のことを思い出し、我が意を得たという気分。

<<以下引用>>
 絵の最初にして最後の下地は肌である。樹皮や、布や、バルサ材の板や、壺の腹や、ひょうたんや編んだ籠にも色を塗ることはできるし、彫ったり、模様でおおったりすることもできる。しかしそれらは、人間の肌の延長にすぎなくて、人間の身体に完全に属しているわけではない。それらは、手当たりしだいに配置された供物で、時間と空間によってごく簡単に散逸させられてしまうものだ。戦ったり、防衛したりするために、それらは、あたかも罠のように身体のまわりにばらまかれているのだ。しかし、身体そのもの「肌」。唯一の画布、何も書いていない唯一の真の表面、失われることがなく、生命によってつくられ、生命≪である≫画布。インディオたちは、芸術を展示しない。自分たちの肌に描くことによって、自分たちの肉体を芸術作品とすることによって、彼らは、総合的意味作用の領域に達した。インディオは芸術のなかに生き、絵画と一体となっている。ようやく命を得た芸術、呪術。
 描かれ、模様に飾られた肌。ここにはもはや想像的なものも、夢想的なものもない。一人一人の男と女が絵である。肌は生きている。器官と血と息吹とを含むしなやかで熱い表面、あらゆる秘密とあらゆる思想とあらゆる勢力を内包する袋。各人が、はっきり意図するでもなく自分のために彫り、他者に対して彼を正確に現わしてしまう生きた像。

<<略>>

 インディオが肉体いに模様を描くのは、それが、およそ人間の考えだし得る限りでの、意識の最大の実験だからである。人間は生きているのだということ、このことをインディオは知っている。皮膚は、他社の目に晒された自分の命の光景である。同時に、外部からの攻撃や探索いから肉体を守るものでもある。

<<略>>

 インディオは肌に模様を描く。すると彼はもはや裸でなくなる。彼の皮膚は、鏡のようなものとなり、敵の目には、敵自身の姿しか送り返さない。そして同時に、なんたる奇蹟か、描かれた模様のそれぞれによって、皮膚には物が見え始めるのであり、それは幾千もの目で覆われるのだ。
 肌に描くことで、インディオの諸族は、意識の冒険をもっとも徹底して体験した人々に属することになった。肉体の描く部分が、自意識なのであり、皮膚のあらゆる平面は、凝視され、認識された。皮膚を傷つけて行われる入墨は、同様の奇蹟を実現しない。これらの儀式は一回限りしか行われず、痛みによって乱されてしまう。それは、意識よりも個別性を宣言するものだ。しかし、絵によって皮膚をおおいつくすことで、インディオたちは意識に、しかも意識だけに到達した。
<<ここまで>>

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最近ブーム「ラミキューブ」世界三大ファミリーゲーム(らしい)
頭がジンジンする。

 
「インディオがどうしても叫ばなければならないときは、声を変えて、鳥や猿の鳴きまねをする」「人間の声には、危険と死がこめられているからだ」

言葉を用いる人間の発する声には危険なものが潜んでいる!

「沈黙のおかげで、インディオにはほかの言語もわかる。インディオは、鳥や植物や樹の言葉を知っている」「大地や川や太陽の言葉を語ることができる」

インディオ通じてるね! 精通してるね。

「彼らは、神秘の表徴を生き、記された跡をたどり、呪術が与える指示にしたがって//要するに芸術//それは世界を前にしての個人の惨めな問いかけなどではない」「芸術とは、人間の集団がいだいた宇宙についての印象//細胞の一つ一つと全体との//」

芸術!宇宙!細胞!

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これがどうなるのかは今度

posted by マリオ曼陀羅 at 02:36| Comment(0) | TrackBack(0) | book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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