■ エヲカク ■

2010年02月20日

2/14 from 元住吉 to HAITI

 2月14日バレンタインデー。前夜のパフォーマンスから明方に帰宅し、目覚め、現場となる元住吉の Powers 2 へ。
 作家であり道化師であり歌手でありいろいろである明川哲也さんの呼び掛けで「緊急開催/ハイチ義援金ライブ!」(イベントについてはこちら)。
 ハイチと言えばこの1月12日に大地震に見舞われた、カリブ海の国で、今はまさにカオスの状態のようだ。
 アフリカ系移民の多い元フランス植民地というくらいの情報しかぼくにはなかったが、そのアフリカ系移民だって好きで来た人達ばかりではないはずだ。奴隷の歴史がその国の歴史の底にある。ちょっと見てみたらフランスの前にはスペインが植民地支配していたようだ。
 学生時代に好きで白黒写真を撮っていた時期があって、その頃ぼくはしょっちゅう新宿西口のヨドバシカメラにフィルムや印画紙を買いにでかけた。その行き帰りのちょっとの贅沢に時々立ち寄ってドライカレーを食べた Cafe Haiti だけが、これまでのぼくとハイチを具体的に繋いだ全てだったかもしれない。
 今回微力ながら関わらせてもらうことになったこのチャリティーライブがあったからと言って、ぼくのハイチの人々のリアリティに対する共鳴が立派なほどに強いとは勿論言えないのだけれども、そして世界で困難に向き合っている人達はそれこそあちらこちらにいるのだろうけれども、とにかく震災に見舞われ、その後の惨事の渦中に身を置かざるを得ない状況に陥ってしまっている人々の体験しているであろう苦悩を、苦痛について、現実的な可能性として反芻する機会に誘ってもらったことは無意味ではなかったと思う。

 明川哲也さんと言えば一昔前まではドリアン助川を名乗り「叫ぶ詩人の会」を率いて、世の理不尽や不条理、暴力や哀しみに対して叫び声を上げていた人。今は「アルルカン洋菓子店」という得体の知れない名義にて、やはり世の理不尽や不条理や暴力や哀しみに対して、しかし温かなメッセージを非常に穏やかな歌にして歌っている。世の中と対峙する際の方法論は変わったのかもしれないが、そのメッセージのコアは変わっていないようだ。
 ところでこの二人組の道化師、どちらもとにかくデカくて威圧感がある。更に大きなアフロヘアだ。でもこの人達のライブを見ると、なぜこんなことになっているのかというのが、実によく分かる。世界の底から人々を支えようとしているのではないだろうか。そう考えるとこの道化師達のデカさも無駄ではなく、そのパワーが必然性を帯びてくる。
 うちの娘(6)は、やっとこのデカい道化師に馴れたみたいで、アフロヘアに喰いついていた。
 アルルカン=道化師の活動の傍ら、もう一本の軸足は物語を紡ぐ作家としての活動に置かれている。『メキシコ人はなぜハゲないし、死なないのか』に始まり、『ブーの国』『カラスのジョンソン』『花鯛』『星の降る町』などなど、この世に生きる人々の日常の営みと密接したなかにある困難や悲哀や不条理に対し、やはりここでも温かく柔和なメッセージを投げ続けている。その表現は往々にして静かだが、まさしく今この時代の作家だ。この時代のトレンドの作家ではなく、この時代の作家だ。時がくればもっと判り易くそれが判るようになるだろう。

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 さて、その明川さんの呼び掛けに集まったのはノコギリ奏者の稲山訓央さん、半ちゃん片ちゃんからなるブルース・デュオの「はんぺんブラザーズ」、それからJake君ことギタリストの cloudchair。そして僕。
 オマケという訳ではないが、うちの妻がケータリング・ユニット「ドーベルマン・ドーナッツ」として相方のトモエさんと、バレンタインデーにちなむ形でブラウニーを三種類を売る。

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 入場料から物販の売り上げ、もちろんブラウニーの御代も、全てがチャリティーとして日本赤十字社を通じ、ハイチに入っている日赤医療団の活動費として用立てられる。
 ライブの間中、ステージの背後で描いたぼくの絵も競売されて、その売上も勿論チャリティーへ。

 三時間強のステージの成果、なんと 157,585円もの寄付金が集まった。

Haiti_charity_sekijuji.jpg

 物事が動くという、ささやかかも知れないが確かな実感。
 
aaaaa.jpg.jpg

CharitiForHeiti_edit.jpg

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 こう言っては変かもしれないけど、気がつけばとにかく前向きで明るいパーティーになっていた。
 

※ 余談にしてしまって良いのか判らないが、その明川哲也さんが主催している電子出版同人誌『e-literature』にて、明川さんと俵万智さんという大きな名前に並んで、どういう訳か田内志文(弟)が散文を書いている。正直な話、ぼくはその弟の志文の文章の紡ぐ世界を覗くにつけ、なんだかちょっと気持ち悪い感じに襲われる。それを志文に正直に伝えてみたところ、彼は先ず自分の気持ちの悪いところを表現しているのだということだったので、それで良いのかなとなんとなく思ったんだけど……。
 これからどういう風に流れてゆくのか、それはそれで楽しみな気もする。よろしければ覗いて見てください。
 
e-literature
http://e-literature.jp/
 



 
 
posted by マリオ曼陀羅 at 02:21| Comment(0) | TrackBack(0) | art | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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